40歳になったら誰もが介護保険に入ります。
これは、65歳以上の高齢者になった時にサポートしてくれる強い味方でもある保険です。
でも、これって本当に65歳にならないと使えないの?
そんな疑問を持つ人もいると思います。
実は、65歳になっていなくても40歳になっていれば、介護保険を利用することができます。
もっとも、当然のことですが、それにはいろいろと条件があります。
私個人が体験したことですが、当時51歳の配偶者が介護保険を利用することができました。
その時のことをご紹介します。
介護保険VS医療保険
介護保険と同じような名称で医療保険というものがあります。
介護保険が65歳以上を保障対象としているのに対して、医療保険は0歳からが保障対象です。
そして、個人負担金は介護保険が原則1割に対して医療保険は原則3割となっています。
この二つの保険で一番大きな違いは保障対象者になるでしょう。
医療保険での保障対象者は保険証をもって病院に足を運べば老若男女誰でも利用できます。
対して、介護保険での保障対象者は介護が必要になった40歳以上の人を対象にしています。
はい、気が付かれましたか?
先ほど介護保険では65歳以上を保障対象としていると書きました。
でも、40歳以上の人も対象になる可能性があるんです。
その理由が40歳以上の前にあった『介護が必要になった』という一文です。
これによって、65歳になっていなくても介護保険を利用することができるんです。
では、その理由を説明していきますね。
要介護認定条件は年齢によって変化します
介護保険を利用するには、国からの認定を受けないといけないというハードルがあります。
では、その要介護認定条件ってどんなものなのか気になりますよね。
そこで、現在日本政府が要介護認定と定めている年代別の基準を紹介します。
まず、40歳未満ですがこの場合は認定の対象外です。
でも、これはまだ介護保険料を払っていないので当然といえば当然ですよね。
では、次に65歳以上の場合です。この場合は要介護状態であれば、文句なく認定されます。
これも65歳以上を保障対象としている介護保険の性格を考えれば納得できますよね。
それでは、40歳から64歳という狭間の年代。
このときは要介護認定は受けられないのでしょうか?
いいえ、ご心配なく。
この年代は特定疾病といわれる16種類の病気のいずれかに罹患している場合、要介護認定を受けることができるんです。
私の配偶者が51歳で介護保険を利用できた理由。
それが、この16種類の特定疾病の一つにかかっていたからなんです。
もっとも、日本政府が定める要介護の認定条件はその都度変わります。
なので、最新の認定基準が気になる場合は、厚生労働省の公式サイトに目を通すことをおすすめします。
16種類の特定疾病って何があるの?
1.末期がん
特定疾病に認定されるがんは、進行性で治癒困難なものに限られます。
治癒困難とは、余命が6か月程度と判断される場合のことです。
2.関節リウマチ
関節に炎症が起こる病気で、痛みや機能障害が発生します。
とくに未明から早朝にかけて痛みとこわばりがひどくなります。
他にも筋力低下などの症状が出ます。
3.筋萎縮性側索硬化症(ALS)
脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える運動神経細胞が置かされる難病です。
重い筋萎縮や筋力の低下といった症状が発生します。
4.後縦靱帯骨化症
頸椎を縦につないでいる後縦靱帯が通常の状態より何倍も厚くなり、骨のように硬くなる病気です。
靱帯が骨化することで脊髄を圧迫し、しびれや痛み、歩行困難などの症状が出ます。
5.骨折を伴う骨粗鬆症
骨が構造的にもろくなり、骨折しやすくなります。
骨折や転倒により寝たきりになる可能性があります。
6.初老期における認知症
40~64歳において生じる認知症上の総称です。
原因疾患としてはアルツハイマー病、ピック病、血管性認知症、レビー小体病などがあります。
7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病
大脳や脳幹の異常による正常な神経細胞の減少。
それに伴ない、静止時のふるえ、筋肉のこわばり、無動、姿勢障害などの症状が発生します。
8.脊髄小脳変異性症
歩行時のふらつきや、手の震え、ろれつが回らないなどの神経症状が現れる小脳の疾患。
座位が不可能となり寝たきり状態となります。
9.脊柱管狭窄症
背骨に囲まれた脊柱管が、組織の変形により狭くなることでの神経障害。
それによる腰痛や下肢のしびれなどの発生です。
10.早老症
加齢促進状態のもたらす疾病です。
遺伝子の異常によって起こるとされ、成人後の早老症の代表的なものがウェルナー症候群です。
11.多系統萎縮症
自律神経症状、パーキン症状、小脳症状を様々な程度に組み合わせて呈します。
12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
糖尿病を原因とする合併症で、神経障害、腎症、網膜症などの症状です。
13.脳血管疾患
脳血管疾患は、脳の血管にトラブルが発生することが原因で起こる病気の総称です。
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などが代表的なものです。
14.閉塞性動脈硬化症
手や足の血管の動脈硬化により、血液の流れが悪くなる病気です。
手足に冷感やしびれ感、安静時の疼痛や潰瘍、壊死などの症状が生じます。
15.慢性閉塞性肺疾患
たばこの煙などを長期間吸入することが主な原因となる、呼吸機能が低下する病気です。
息切れや咳、たんの他、ぜんそくのような症状が出ることがあります。
16.両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
慢性の関節炎を伴う疾患で、ケガが原因となることがあります。
初期は歩行し始めの痛みのみですが、次第に痛みが増え、関節の可動域が制限されていきます。
介護で精神的に辛くならないために
40~64歳の間って16種類の特定疾病にかかる割合って少なくないと思います。
実際、私の配偶者もまさかと思う病気になってしまいました。
そして、最初は介護保険なんて利用できないと諦めていたんです。
そんな中、介護福祉士の方とお話していく中で、医療保険と同じ3割負担にはなるけれども、介護用のベッドや車いすがレンタルできることを知りました。
それらをレンタルしたことで、精神的に楽になったことも事実です。
病気になってしまうことは悲しいことかもしれません。
でも、介護は家族にも負担になります。
そんな時、65歳になっていなくても介護保険が利用できる。
この方法は知っておいても損ではないと思うんです。
65歳になっていないから介護保険が利用できない。
そう思っている方の意識が少しでも別の方向に向く助けになればなによりです。